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2014/06/02

ムーンライト伝説 / タキシード・ミラージュ

セーラームーンのトリビュートアルバムに提供された2曲。

 このアニメに対して思い入れどころかただの一回さえ見たことのない俺でさえ知っている有名なオープニング曲、ムーンライト伝説をストレートカヴァー。ストレートすぎて特筆することが何一つ無いが非常に安心感のある(=可もなく不可もない)カヴァーに仕上がっている。こういう昭和臭いメロディがももクロとの親和性が高いのは今更言うまでもない。

 タキシード・ミラージュの方は全く知らない曲なのだけど、個人的には非常に苦手なタイプのバラード。玉井がこの時期にしては驚くほど不安定な音程でオープニングを飾る。他のメンバーの歌も妙にやっつけ仕事?

 とはいえ、最近の無駄に大仰で、話題性だけを狙ったような作品群と比べると良い意味で力が抜けていて、個人的に「アイドル」という物に求めていた空気感が久々に帰ってきたような、そういう緩い存在感は決して悪くない。

 よりによってももクロ初の7インチシングルが切られた、と言うコトは特筆しておきたい。

2013/12/12

桃色四葉Z日本巡業弐零壱参 五蘊劇伴音楽集



 「ツアーのサントラ」という名目でライヴの曲間SEを集めたアルバムを(限定盤とは言え)作成し販売する。まあ、全くあり得ないコンセプトではないのだけど、アイドルファンにアイドルの声が一切入っていないCDを売ってしまう、という商売はなかなか豪快だ。コレを作るという行為自体が半ば出オチ的なサプライズだが、問題はそのクォリティにあった。

 全7曲のソングライターとして主に過去のももクロ楽曲に関わったミュージシャンを起用。参加したのは永井ルイ(月と銀紙飛行船)、NARSAKI(ピンキージョーンズ、黒い週末他)、長谷川智樹(宙飛ぶ!お座敷列車、僕らのセンチュリー・アレンジ)、大久保薫(初参加)、和嶋慎治(黒い週末・ギター)、木村篤史(初参加。GOUNNのアレンジ担当)、横山克(Chai Maxx、空のカーテン他)というメンバー。大久保、和嶋、木村は初の楽曲提供となるが、他の作曲陣は既に馴染み深いメンツ。

 永井ルイの「曼荼羅」~プロローグ~はオリエンタルなオープニング曲、と言うコトで何故か個人的にはストーンズのContinental Driftを思い出してしまったのだけど、まあ似てると言うより雰囲気があるという話。「ゴダイゴっぽい」という声も聴いたが、まあBirth of Odysseyと言いたいんだろうけどさほど似ていない。ぶくぶくと沸き立つようなサウンドが印象的で、個人的には一番好きな曲。

 「運命」~輪~はNARASAKIが作曲。イントロの40秒近くが非常に小さい音で収録されているのでパーカッションが聞こえるまで不安になるが(笑)この曲から久米明(!)のナレーションが入るが、声の入らないヴァージョンも聴いてみたかった。前半のエスニックアンビエントという雰囲気のパートから、リズミックな後半部へ展開するとなんとなくNHK特集かなんかのBGMという雰囲気に。前半の感じで押して欲しかったのは好みの問題。

 「巡礼」~廻~は長谷川智樹の曲。お座敷列車や僕らのセンチュリーのグラムロック的な方向性とは全く違った、今回のサントラ全体の雰囲気に合わせた楽曲。四つ打ちのビートが登場して、前2曲よりダンサブルでポップな感じになっているのは持ち味か。

 唯一英語のタイトルが付けられた「Meditation」~転~は初参加の大久保薫の作品。ピンク・フロイドのEchoesを彷彿とさせるイントロにニヤリとしてしまう。そのせいでもう少しヘヴィなビートを期待してしまうのだけど、残念ながら基本的に軽め。でもコーラス系の音色で弾かれるキーボードもちょっとリック・ライトっぽいフレージングだったりして、やっぱりフロイドっぽいのだ。

 「祈りの鼓動」~生~は和嶋慎治の初提供曲。ナレーションが終わってから曲が始まるのが嬉しい。勿論和嶋自身のヘヴィなギターが聴けるのがこの曲の魅力。何人かの指摘もあったが、確かにこの曲は生のドラムでもっとハードに聴かせて欲しかったが、サントラ全体のサウンドの統一を考えたらコレが正解か。
 他の曲はエスニックな楽器音とそのフレージングでアジア風のサウンドを作っていたが、元々和風なギターが得意な和嶋はその雰囲気をギターで出しているのが異彩を放つ。

 「光と影」はサブタイトルが付いていなく、最も短い曲で、インタールードとしての色彩が強い。最もアンビエント色が強く、コーラスとシタール系のサウンドが曲の中心を為している。
 この曲はこのあとリリースとなるシングルの、また、このツアーのリードトラックでもあるGOUNNのアレンジを手がけた木村篤史が作曲しており、この曲の後にGOUNNが披露されるという流れもあるため統一した雰囲気を狙ったと思われる。この曲はあくまでイントロであり、存在感の薄さは狙いなのだ。
 
 ステージ本編のクロージングとして使われた「旅」~時の流れ~は横山克の曲。いかにもエンドロールのバックで流れそうな大団円的サウンドで、あまりエスニックな音には拘っていない。GOUNNの世界から通常のももクロワールドへの繋ぎ、という意味もあるのだろうか?

 あえて言うならサウンド的には不満がなくもない。決してクォリティが低いわけではないけど、やはり打ち込み主体のサウンドが楽曲を生かし切っていないと感じる部分もあるからだ。だが、あくまでツアーの幕間SEであり、主目的を考えると予算的にこのメンバーを揃えただけでも限界だろうことは想像に難くない。むしろ予算オーバーの部分を補うためにサントラとしてリリースしたんじゃないか、と邪推したり。


 ナレーションに関して少し。仏教的世界観をビジュアル・サウンドイメージとして多用しているため、最初は説教臭い、宗教臭いような内容として受け止めて、正直俺なんかは拒否感を示しかけたんだけど、実際良く聴くともの凄く当たり障りのない、当たり前のことしか言っていない。この辺のバランス感覚、特定の宗教観に偏らないようにしたのは立派な判断だったと思う。

2013/10/30

5th Dimension

自分でも僅かに感じていた違和感は友人の指摘ではっきりした。楽曲単位のレビューだとどうにも絶賛してしまっているのだけど、俺自身この「5th Dimension」というアルバムに対してはどうにも微妙な思いをぬぐい去れないのだ。

 リリース当時、このアルバムは「アイドルらしからぬ、音楽的に充実した作品」という扱いだった。いや、まあ、それは正しいのだと思う。「アイドルとしては」挑戦的かも知れないし、様々な音楽ジャンルに挑戦し、豪華作曲陣を迎えたアルバム作りは多方面から絶賛されたし、実際、楽曲レビューで書いたとおり、俺自身も好きな曲が多いし、ライヴで踊りやすいビートを持った曲が多いから非常に居心地がいい作品であることは全面的に認めざるを得ない。もの凄く聴きやすいし、踊りやすいし、すんなり自分の中に入ってくる。変な曲は一曲もない。どの曲も良くできたポップソングで、メロディ、アレンジともに申し分ない。

 そう、問題は「居心地がいい」ってところなのだ。

 要するにね、このアルバム、アイドルファンから見たら「凄い」かも知れないんだけど、音楽ファン(ちょっと感じの悪い表現だがあえて今回はこの表現を軸に置く)の側から見たらもの凄く「普通」なアルバムなのね。つまり、フックがない。俺が最初に触れたももクロがコレだったら、多分ファンにはならなかったと思う。「ふうん、アイドルが面白いことやってるんだね」が関の山だろう。

 5th Dimensionを聴いて「なんだこりゃ!?」という衝撃は一切無い。聴き慣れたサウンドで気持ちよくダンスできる作品群。悪い曲は一つも入っていない。違和感がある曲も無い。どの曲も当たり前のポップソングで、すぐ慣れて、忘れてしまう。一曲の中には一つの要素。楽曲としては非常にスマートで整合性がある。久しぶりに聴いたら適度に気持ちいいけど、それだけだ。
 このアルバムはあくまで「既にももクロに触れているファン」の為の物で、新規ファンを、少なくとも音楽ファンから引き込むにはあまりにも物足りない。

 音楽ファンを舐めないで欲しい。俺達は「怪盗少女」や「ミライボウル」のいびつさや過剰さに衝撃を受けたんだ。サウンドは安っぽいし、曲は稚拙な物もあるけど、インパクトは凄かった。「なんだこりゃ!?」と思ったから彼女たちの発言や、普段の姿や、他の曲や、ライヴへと、どんどん興味を深めていったんだよ。

 コレが結論のつもりで個々まで書いて一日置いてみた。

 逆に考えたらどうだろう?アイドルファンから音楽ファンへの通り道、にはならないかな?5 the Powerからヒップホップへ、猛烈からヘヴィメタルへ、ゲッダーン!からテクノポップへ、Neo StargateやBirthからダンスミュージックへ、銀紙からサイケポップやプログレへ(え〜?)等々……

 ももクロファンがそこまでするのか、という考えも本当だけど、逆に音楽ファンがこうやって辿ってきた道を逆に辿っていくアイドルファンがいるかも知れないよ。それは素敵なことだと思うし、そうなったら嬉しいと思うね。俺の希望的観測でしかないけどね。まあ、ポジティブな言葉でこの文章を終われて良かったよ。

2013/10/22

ラフスタイル for ももいろクローバーZ

オリジナルヴァージョンのレビューを書いたとき俺は「大化けするとは考えにくいけど、もし出来るなら、今のももクロで聴いてみたいとも思う。」と書いていたコトはコメントされて思い出したのだけど、まさかそれが実現するとは思わなかった。しかもまさかのバラードアレンジ。ある意味「大化け」したわけだが。

 いや、実際には本当に「大化け」している。アレンジはともかく、オリジナルと聴き比べると歌唱力そのものは言うまでもないんだけど、歌を歌おう、表現しようという気持ちが雲泥の差だというコトが解る。ってか、こうやって比べちゃうとオリジナルは歌じゃないよね。カラオケレベル以下。

 サウンドは白秋〜5th Dimensionを踏まえた生バンド/アコースティックサウンド。面白いのは、実はアレンジは大きく変わったが演奏時間が同じで、テンポも殆ど変わっていないこと。コレはある意味マジック。聴かせ方でテンポ感まで全く違うように聞こえるのだ。

ツヨクツヨク / だいすき!! / Hello... goodbye

ファン人気はあるけどどうにも苦手、という意味でWords of MindやBlieveと同列に扱ってるのがツヨクツヨク。早見のラップは他の曲より良くできていると思うけど、それ以外に聴き所がない。ヴァースだけちょっとファンキーで、そこからべたっとしたサビへの展開はこの手の曲の定番。どうにも好きになれない。スタジオヴァージョンの正式リリースはコレが初?限定発売とかあったのかな。

 だいすき!!は純粋な未発表曲?俺としては初めて聴いた曲で、なんとも居心地の悪いリズム感覚のテクノポップ。高音でメロディに付かず離れずのシンセ音がどうにも気持ち悪い。ヴォーカルはラフスタイルに近いやる気無さそうな棒読みスタイル。いかにもボツ曲という感じだ。気怠い「いぇーい」がもの悲しい。

 Hello... goodbyeは柏原芳恵でも勿論ビートルズでもない未発表曲。だいすき!!以上にバックと歌の混ざり方が気持ち悪くて、更にユニゾンのメンバー同士の声が溶け合ってなくて、もの凄く聞きづらい音。メロディも捉え所がない。最後まで聴き通すのはそれなりに苦行。

Dream Wave

デビュー直前くらいの限定発売だかなんだかで出た曲、くらいの知識しか無くてちゃんと調べずに書くのも気まずいのだけど、まあわざわざ調べたいような曲ではない、と言うのが本音。

 デモテープレベルのサウンドなのは仕方ないし、歌唱が稚拙なのも仕方ない。まだなにも起こる前、本当に何も起こって居ない頃の作品。

 それでも一瞬夏菜子の声、現在の強さはないけど、何かを内包した声に耳が反応する。それが何かの予感だと言ってしまうのは大袈裟だけど。

あの空へ向かって / あの空へ向かって(Z Version)

入り口のない出口収録曲に関しては今回初登場の曲に関してのみ扱うことにする。既発の曲に関しては各シングルの項を参照のこと。

 この曲には幾つかのヴァージョンがあるのだけど、このアルバムに収録されたのは固定メンバーになってからの録音。ネットで聞いたコトがある初期メンバーによるヴァージョン(シャレにならないレベルで下手糞・笑)よりは遙かに安定した歌唱になっている。それでもまあ、かなり下手糞だけど。

 歌詞は初期メンバーが書いたもので、ソングライティングにメンバー自身が参加したものとしてはなんと、コレが現時点で唯一となっている。

 オレンジノートや走れ!と並び、ファン人気の高い曲の一つで、古株のファンほど思い入れも強いのではないだろうか。初期曲で、スタジオ版公式発表が遅く、常にエンディング近くで演奏される、と言う意味ではウイングスで言うところのSoilyにあたる……というのはでかく出過ぎました。

 さて、こういった物言いから俺はこの曲が嫌い、と言う流れかと思いきや、コレが意外に悪くないと思っているのだ。何がどう、という説明はしづらいのだけど。素朴な感じがいいのかな。

 なお、アルバムにはボーナスとして早見あかり脱退後に(ライヴでの口パク用に?)レコーディングした「Z Ver.」が収録されている。現時点に比べるとまだ弱いが、旧ヴァージョンとは比較にならないほど成長し、安定した歌唱が聴ける。音楽として聴くなら、このテイク一択だ。

涙目のアリス / ありがとうのプレゼント / 津軽半島竜飛崎 / だって あーりんなんだもーん☆ / 太陽とえくぼ

白秋第一部では各メンバーのカヴァーと、オリジナルのソロ曲が1曲ずつ演奏されるという形態を取っている。今回はソロ曲の方を簡単にレビューする。

 涙目のアリスはアコースティックなアレンジになり、オリジナルより哀愁感が増した。反面、80年代臭さが抜けて玉井との親和性が若干下がったか。ただ、オリジナル音源より歌のレベルは上がっているので上手く対応しているように聞こえる。

 ありがとうのプレゼントは、生バンドによって原曲のトラックの安っぽさが払拭され、杏果も少し上手くなった分、あのどうしようもなく嫌いな感じを受けなくなっている。こうなったところで好きとは言えないけど、オリジナルヴァージョンより遙かに聴きやすい。

 津軽半島竜飛崎は……コレはまあ、特に言うことはない(笑)いつもの高城れにです。原曲とも大きく違わず、歌もまあ相変わらず。コレはこういうものなんだろう。

 問題の(?)あーりんだが、この場でだってあーりんなんだもーん☆を演るという暴挙をもってどうしようもないほどのあーりんぶりを見せつける。ってか、ここでのあーりんとモノノフの弾けぶりを見ると「秋桜」は双方にとってストレスだったのでは……?とさえ思ってしまう。あとシンセ音をアコースティック楽器で再現してるのは面白い。「あーりんりん」のパートを歌うコーラス隊のプロっぷりも讃えたい。

 太陽とえくぼのアコースティックアレンジはなかなか嵌っていて気持ちよい。渋谷系のこういう展開もお馴染みだよね。原曲はMy Ever Changing MoodsだったがここではAll Gone Awayという感じ、と言えば解りやすいだろう。夏菜子の歌に関しては、「初恋」と同じです。来るよなぁ。

秋桜 / 初恋 / 襟裳岬 / 少女人形 / なごり雪 / 神田川 / あの素晴らしい愛をもう一度

初回盤のボーナスディスクとして収録された「白秋」は、ももクロ初のライヴアルバムとして位置づけできる作品でもある。ここでは各メンバーによるカヴァー曲を紹介する。

 秋桜はそもそもこのイベントの契機ともなった曲。以前のライヴでこの曲をカヴァーし、大失態を晒したあーりんのリベンジがイベントの目的の一つだったことは間違いないそれをあえてアタマに持ってきたのはスタッフの意気込みか。
 出来は、勿論前回の失敗を踏まえて比較にならないほど良くはなっているが、まあ音だけで、後から聴いてしまうとひいき目に見ても「それなり」と言うのが限界。特にヘッドフォンで聴くと「うわっ!下手だな!」と思ってしまった事実もあり。ファンとしては暖かく見守りたいが。

 初恋は夏菜子がソロで歌う。彼女の「歌力」が相変わらず良く出ていて、多分このライヴ(勿論未聴の第2部は除く)中のベストパフォーマンス。上手い下手ではなくて伝えてしまうというのが夏菜子の強みで、これだけはもう野生以外の何物でもなくて、努力型の杏果やあーりんには羨むよりほかないのだろうなあ、と、聴きながら思ってしまうのだ。悪いケド、俺は原曲より好き。特に声が。

 襟裳岬は高城がヴォーカル。何故かここでは妙に鼻が詰まった様な声なんだけど、注目したいのは普段のライヴにおける彼女の悪いクセが全く出ていないところ。リズムも外さないし、下手なりに音程も外さない。つまりアレはダンスに気を取られすぎたが故の現象だった、というコトがよく解るのだ。まあ、パフォーマンスそのものは、それなり。それにしてもこの子の声は可愛いね。

 少女人形という選曲は玉井詩織にはベストチョイスとしか言いようがない。似合いすぎてるのはともかく、相変わらずソツのないパフォーマンスで語るべきところが無いのも例の如し。思ったまんまの歌唱がそのまんま出てくるのね。はい、はい、これ、これ、って感じ。玉井も鼻詰まってる?

 杏果はソロではなく南こうせつとのデュエットでなごり雪を歌う。楽曲のセレクトのおかげか、杏果癖(喉治療前)が適度に抑えられて悪くないのだけど、デュエットの弊害としてオリジネイターと直接比べられてしまう不幸が。表現力のレベルの差を目の当たりにされてしまうのは可哀想だが、それでも健闘している感はある。

 ラストの神田川とあの素晴らしい愛をもう一度は南こうせつ中心のパフォーマンスであり、あまり特別にどうこういうものではないだろう。

2013/10/16

灰とダイヤモンド

いままでろくなバラード曲が無かったももクロが、アルバムに2曲も出来のいいバラードを収録したというのは大事件ではないだろうか。しかも前山田健一作曲。アレンジにさえ手を出させなければ彼にもいい仕事が出来ることを再認識させた、と言う意味でも意義は大きい。

 曲そのものも勿論良いのだけど、メンバーとバッキングの表現力が大きく向上したのがこの曲を良く聞こえさせる要因の一つだと思う。過去の「白い風」や「キミノアト」のような安っぽい打ち込みトラックとは一線を画したサウンドには圧倒的に説得力を感じるし、そこに乗っても違和感がないところまで(どうにか)成長したヴォーカル、この時点でのバランスとしては素晴らしいのではないかな。

 7分近い長尺曲だけど、展開がワリと凝っているので意外に飽きない。特に後半への流れ、夏菜子のソロパート→速いパッセージのインスト→メンバーが歌い継いで杏果の圧巻のロングトーン、という流れが白眉。この曲で「杏果歌えるようになったなあ」と、熱の低めなファンである俺でさえしみじみするのだからまして緑推しの心境たるや。

 アルバムのラストトラックとして考えても大袈裟にハッタリで始まったアルバムを、「ちゃんと壮大な」音楽で締める、というのは秀逸。それでいて曲そのもののエンディングは意外にあっさりしているのも、良い。

宙飛ぶ! お座敷列車

「タイムマシーンにお願い」との類似を指摘されることの多いポップなロックンロール。確かに似ている。また、どこまで狙っていたかは不明だが、労働讃歌の歌詞「宇宙弾丸列車」がこの曲に結実したように聞こえるという部分は話題になった。

 曲としてはあまりにもシンプルなのであまり語ることもないのだけど、少し膨らまそう。

 2回目のヴァースの所謂トレインビートやラストのサビに向かうブリッジの3連符を使ったリズムアレンジがなんとなく嬉しいのはドラマー視線か。
 また、徐々に使われるようになってきたメンバーによるハーモニー、春以降のライヴアレンジにも繋がっていくブラスセクションの多用など、新境地の予告編的な要素も垣間見えて、シンプルながら微妙な聴き所は多い。

 ヴォーカルのパート分けはそれほど凝ってもいないし、サビはユニゾンで押し通すんだけど、工夫がないと言うよりみんなで歌うパーティソングというイメージか。

 まあ、シンプルに楽しい曲だから、歌って踊る以外のコトを考えるのは野暮、ってコトかも知れないね。

2013/10/15

上球物語 -Carpe diem-

最初聴いた時はご多分に漏れず「Chi-Maxxじゃん」と思った。作家が同一なら尚更だ。この人の引き出しは……?と疑問にさえ思った。が、じわじわと魅力を感じていき、今ではアルバム中トップ3に入る曲となった。

 繰り返すが、特にサビのメロディはChi-Maxxに酷似した部分が多いのだが、ヴァースは全然違い、これがまた複雑なリズムに大量の歌詞を詰め込んだなかなか難易度の高いパート。この曲にもブルージーなメロディも出てくるし、仮想ディストピアと並んでロック的な感覚の強い曲だ。

 とにかくヴァースの歌のリズム、特にあーりんのスキャットパートは圧巻。歌を聴いてるだけでもダンサブルだしどんどんアッパーな気分になっていく。最後の方でちょっと疲れてる感じがよいのだ。空のカーテンと並び、あーりんスキャット担当として開花。

 それを補強するのが生楽器、特にパーカッションを多用したグルーヴィーなバッキング。っていうか、ヴォーカルまでパーカッション的に使われてるんだよね。全てが打楽器。

 歌詞もちゃんと読んでないけどどうにも切羽詰まった感じで、詞、曲共に息つく暇もなく突っ走った挙げ句に「生きよう!」とか言われてもこっちはたまったもんではない。だがテンションが上がってるから「生きてやろうじゃねえか!」としか返しようがないのだ。

 なお、一部の企画ライヴでこの似ている2曲を合体させた「上球Maxx」というヴァージョンがプレイされたらしい。一度聴いてみたいものだ。

BIRTH Ø BIRTH

アルバム先行公開曲第二弾。シングルとしてはリリースされなかったが、DL販売はされた。BaRの時のD'の純情に近い立ち位置でもあり、どこかB面っぽい雰囲気なのも似ている。

 今風(それこそ、ダブステップとか?)のサウンドなんだけど、どこか90年代のデジタルロックを思い起こすのは同時代のNARASAKI作曲故か。なんだかとっても、Jesus JonesのIdiot Stare(名曲!)を思い出させる。ってか、Idiot Stareを分割してこの曲とNeo STARGATEが出来た感じにも聞こえるな。テクノとロックを融合させて大袈裟に盛り上げた感じ。ええ、当時俺もこういう音楽を演っていました。

 個人的には「あほかー」は嫌いなんですが。

 個人的には懐かしさで非常に盛り上がる曲なんだけど、冷静に聴くとNARASAKIの過去作品ではLost Childより少し上、という程度か。Neo STARGATE同様ハッタリ感が強い。ギミックで聴かせるタイプの曲は(それこそ前山田健一のように)飽きやすいんだよね。あと、Neo STARGATEとどっちがどっちだか解らなくなるコトも多々ある。あと、サウンドに凝ってる分肝心のももクロの存在感が妙に薄い。つまり俺にとってこの曲は「単なるダンストラック」なんだな。踊れるから気持ちいい。でも、別にこんなのももクロじゃなくてもいいよね。

 それでも好きな曲寄りに分類されるんだから、NARASAKIたいしたもんだ。Coltar of Deepersももう少しマシになれば良いのだけどな。

月と銀紙飛行船

永井ルイ作曲のワルツで、聴き所は本物のメロトロンです。

 まあ俺みたいなタイプの音楽好きにとっては、イントロであの哀愁感溢れるメロトロンのフルートが聞こえた段階でもう感動なんだけど、そういうギミック抜きにしても素晴らしい曲だと思う。ももクロのスローナンバーでここまで良いと思える曲は他にない。

 余談だけど、このイントロのメロトロン、一部で言われてるほどStrawberry Fields Foreverに似てはいない、ってコトは強調しておきたい。3拍子でリズムも違ううえに、フレージングも全然違う。なんかあのフルートが聞こえるだけでStrawberry Fieldsっぽいって勘違いしちゃう気持ちは解るけどね。

 閑話休題。

 個人的にはこういうノスタルジックなサウンドというのは大好きで、ポール・マッカートニーやキンクスが得意としていた世界観が上手くアイドルポップスに落とし込まれていると思う。オーケストラとハードなギターが入ってくるあたりが「わかってる」感のある盛り上げ方。ドラムの音色がもう少しヴィンテージ感あれば……ってのは贅沢ですね。フレーズも少しうるさい気がする(と言いながら、俺が叩いたらやっぱりこうなる気もする)。

 音が好きすぎて歌に触れ忘れちゃうんだけど、この曲でキモになってるのは夏菜子と高城じゃないかと思う。ノスタルジックな曲調に、彼女たちの無邪気な声質が凄く合うのね。玉井がもう少し馬鹿っぽく歌うと良かったんだけど……。反面、あーりんはこの曲にはしっかりし過ぎな印象。意外にいいのが杏果が歌い上げるところで、稚拙なんだけどなんだか包容力を感じるのね。お母さん的な(笑)夏菜子、高城とのコントラストが凄くいい。

 ってか、サビが浮いて無くて素直に全編いいメロディって曲意外に少ないんだよね、ももクロ。

2013/10/13

ゲッダーン!

テクノポップ風ロックンロールナンバー。労働讃歌と続いて収録されているが、外国人ライターによる楽曲という共通点がある。英題はGet Downだったようだが、日本で歌詞が書かれた後に決定した可能性もあり。

 サウンド的にはパッと聴きチープな音色だけど、かなり丁寧に作られたトラックだと思う。イントロのベルっぽいシンセとか、ドラムの音色とか、ミドル後のぶにょぶにょしたベースとか、凄く印象に残る。

 ロックンロールらしくちょっとブルーノート含みの音程で書かれてるんだけど、面白いのは、同じような音程を含む5 the Powerでワリと上手くこなしていたあーりんがこっちでは「どうにか書かれたメロディ通りに歌っています」という感じで、あまり上手くないところ。杏果はしっかり歌えている。他の3人は下手。

 サビへの繋ぎのコーラスはTwist and ShoutかLet's Danceか。

 ミドルのスローパートは例によって夏菜子の見せ場なワケだが、まあライヴを観た人間にはどうしたって「あの顔」をセットで思い出してしまうのはやむを得ないところだろう。特筆すべきなのはここで、抑えた歌唱なところね。ライヴの方が「いつもの夏菜子」っぽいんだけど、スタジオ版は妙に大人びている。
 

 

2013/10/11

5 the Power


ももクロ初の本格ヒップホップ/ラップトラック。

 過去の「歌謡ラップ」が大嫌いな俺としてもコレは大好き。そもそも俺はヒップホップそのものが得意じゃないんだけど、コレはポップス側から上手く翻訳してくれて、なんか最近では「ヒップホップを取り入れた音楽」全体でも特に好きな曲の一つになりつつある。なんか恥ずかしいくらい絶賛してますね。いや、好きなんだよ。意外にテンポが速くて踊りづらい面もあるんだけどね。

 ラップパートはみんなよく頑張ってるんだけど、注目したいのはリズムが悪い印象がある高城が凄くいいこと。一番キレがあるんじゃないかな。予想外に向いていて驚いた。

 あーりん、杏果が上手いのは予想の範囲で、むしろ注目はソロを取るブリッジ。あーりんが可愛くやさぐれて歌う1回目、杏果がようやくソウルフルに歌う2回目、どちらも予想以上に気持ちよかった。

 玉井は安定(笑)。可もなく不可もないためか意外に見せ場なし、という。声はなんか合ってるんだけどねえ。そして意外にパッとしないのが夏菜子なんだけど、彼女の出番はエンディング。結局エモーショナルに歌うのが一番向いてるのね。

 無念だったのは、折角のクラブ仕様(?)なのにアナログで聴いてもあんまりどっしり感が無かったことかな。コレは本作のLP全体に言えるんだけど。ちゃんとアナログ向けのマスタリングしろよ。手ぇ抜いてんじゃねえよキング/スターチャイルド。

猛烈宇宙交響曲第七番「無限の愛」/労働讃歌/Z女戦争/サラバ、愛しき悲しみたちよ

 この4曲は既発シングルと同音源。アルバム用にリマスタリングはされているが、再録部分も無いし、ミックスの変更もない。

 Battle And Romanceでは過去の楽曲が5人ヴァージョンでリメイクされていたが、本作では4曲分まるごと「二度買い」させられていることになる。まあ、アイドルファンは同じCD何枚も買うことに抵抗はないんだろうが。

 旧作のアルバム収録を批判するつもりはないのだけど、ももクロのように「成長」をテーマにしつつ、また本作ではコンセプトとして「次元上昇」とか言ってるにもかかわらず成長前の、出来の悪い歌唱をそのまま収めるのには疑問を感じる。特に2年近く前のシングル「労働讃歌」はクォリティ的に違和感が強い。「猛烈」もかなり下手な印象。まあ、その差で「成長」を感じさせる、って言うのかも知れないけど。

 サラバはともかく、それ以前の3曲はせめてヴォーカルの再録とリミックスをすべきだった。

 蛇足だが、音楽ファン以外のアイドルファンの一部に誤解している向きもあったようなのだけど、リマスターというのは収録されるフォーマットに合わせて違和感ないように、例えば既発シングルと新録のアルバム曲の音量や音質に大きな差が出ないように調整を施すことであり、ミックスの変更はない。したがって、サウンドのバランスなどは全て既発シングルのままである。

2013/10/07

仮想ディストピア

疾走感のあるロックンロール。四つ打ちをベースにしたギターロックなのでなんとなくグルーヴ感に80年代のストーンズを感じるような気もする。本作では数曲で導入されている生バンドが映えた曲の一つ。

 やっぱりこの曲のミソはサビでしょう。メンバーの掛け合いヴォーカルはいままであんまり無かっただけに楽しいし、嬉しい。パート分けするよりなんか「みんなで歌ってる感」があると思うのは俺だけの感覚かな。

 ヴォーカルは全体的にエモーショナルに張り上げてる感じがあって、サウンドも含めて過去のどの曲よりもロック的に聞こえる。こういう時に一番映えるのは何故かあーりんなんだよね。でも、弱めの声質で力尽くでガツンと飛び出してくる高城が意外に耳を惹く。初期よりだいぶ強くなったけどね。

 なんかこの曲は、丁寧にやさぐれてる感じがする、この歌い方でBionic Cherryをリメイクして欲しい気もするな。

2013/10/04

Neo STARGATE

2ndアルバムのオープニングトラックであり、シングルカットはなかったがPVと楽曲がアルバムリリース前に先行配信され、事実上の先行シングルとしての位置づけを与えられていた。

 オープニング部分にはカール・オルフのCarmina Burana からO Fortunaが引用され、コレがライヴにおけるOvertureのような位置づけになっている。おかげで非常に荘厳、というか大袈裟、というか、ハッタリの利いた導入部になっていて、勿論この時点(アルバムはもとより、5th Dimensionツアーとしても)でこのハッタリが必要とされていたが故のアレンジ。


 リリース当時はインパクトがあったんだけど、まあ、たいした曲じゃない。今聴くと「アレンジでもたせてるなあ」って思っちゃうのもまた、ホント。まあ、あくまでインパクト優先のオープニングトラックとして作りました、ってコトなんでしょう。Z伝説同様、今後存在感が薄まっていくんじゃないかと思われる。

 アレンジ的にはダブステップを取り入れて話題になったけど、最近のダンスシーンに詳しくない俺にはこの辺は語りきれない。ダークな雰囲気のヴァースとポップに展開するブリッジ〜サビのコントラストがこの曲のキモじゃないかと思う。ビートが激しくなった瞬間の開放感はなかなか気持ちよい。モノノフ達は嬉々として「うりゃおい」を開始するのだけど(笑)、まあ弾けたくなるよね、ここは。ダブステップ云々より、展開で踊り甲斐のある方向に行った感じかな。

 Open the Gate〜の部分のヴォーカルは頂けない。クワイアのみにするか、もっとメンバーの声を馴染ませたミックスにすべきだった。超片仮名発音を大目に見るとしてもね(笑)。ももクロのヴォーカルがバックから浮きすぎてるんだよ。気持ち悪い。あと2コーラス目の「手と手を繋ぎ〜」のハモりも加工が強すぎて違和感。録音時音程が合っていなかったか、そもそもユニゾンで録ったものを加工してハモらせたか。

2013/04/02

事務所にもっと推され隊 / 事務所に推され隊

事務所に推され隊は有安と高城のユニットであり、何故か華やかな印象のある(暖色系の)他の3人に対し「推されてない」とのひがみ(被害妄想)によって結成されたものと思われる。俺の分野で解りやすく言えば「ももクロのリンゴとジョージ」というわけである。

  曲は本人たちへのリサーチ(不平不満噴出大会だったらしい)を元にして、この手の仕事は得意中の得意である前山田健一が書き上げた。楽曲としてはシンプルなロックナンバーで、まあ取り立てて音楽的に言うべきことは無い。但し、ひとつだけ特筆したいのはこの曲のサビで二人が(非常に簡単な音程ではあるが)ハモっていること。こういうことをもっとやって欲しいのだよね。出来るんだから。そのうち語るけど、Z女戦争の合唱パートとか大不満なのだ。

  閑話休題

  間奏の語りで杏果が「この曲ってでこまゆに似てなくない?」と言っているのだが、「似てなくない」ってそれは「似てない」という意味であり、まあ実際似てないのだけど(笑)それに対してれにが「どうせ使いまわしだよ」とか言っているからワケがわからなくなってしまっている。だがその後の「I Want Office Push!」という出鱈目英語がこの曲のハイライト。