2014/01/21

GOUNN

GOUNNツアーで発表された新曲にしてツアーのタイトルトラック。シタールやタブラを使ったサウンドからNARASAKIの曲かと思ったが、実際には無名のシンガーソングライターの作品だった。

 リリース前に「豪華」演奏陣(NARASAKI、ASA-CHANG、ハマ・オカモト、ピエール中野)によるバックトラックが公開されたことも話題になったが、なんとなくそういう「音楽通を唸らせる」演出行為が鼻についた感があった。確かにメンツには驚いたし、凄いとは思ったけど、5th Dimennsionの頃から顕在化し始めた「楽曲派」を意識したサウンド作りとそれを話題として前面に打ち出す姿勢にはあまり良い印象は無かったな。なんかやたら話題になって「トラックだけで凄い」みたいに散々言われたけど、個人的には、バッキングだけ聴いてもやたらうるさくて、何にもいいと思わなかった(あくまでトラックの話。俺はツアーで完成形を聴いていたから曲が悪いと思ったわけでは、無い)。

 そういうバックボーンと完成品としての曲の評価は全く別の話。サイケデリック・ロック meets 80年代歌謡曲という趣の楽曲そのものは、特に最初ライヴで聴いた時には素直に「いい曲」と思えた。メロディはシンプルでキャッチーだし、ツアー同様仏教的世界観を打ち出した歌詞は、意味よりサウンドとして曲に溶け込む。トラックのみでは音数が多すぎて過剰と思われたハマ・オカモトとピエール中野のリズムトラックはヴォーカルが乗ると不思議なくらい丁度いい塩梅に収まる。そういう意味ではとても良くできた曲だと思う。ちょっとキミとセカイを思い起こさせるメロディも顔を出し、古くからのファンの気持ちも絶妙にくすぐるんじゃないかな。

 だけどこの路線、つまり「労働讃歌」あたりからの、どんどん過剰さを増し、派手に、複雑に、豪華に、長く、てっていう楽曲の方向性にはそろそろ飽和を感じ始めていて、正直繰り返し聴くうちに、この脂っこさに胸焼けしてしまう。要するに、俺は飽きてきたんだよね、「楽曲派」好みの音にさ。テレビサイズで聴くと適度にくどくなくて逆に丁度いいってのは皮肉だ。

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