2013/06/15

黒い週末

NARASAKIが作曲、リードギターに人間椅子の和島慎治を迎えて録音されたももクロ初の「ハードロック(風)」ナンバー。イントロの咳払いは高城れにがコークを吸引した時のものといわれている。

  タイトルや和島の参加から想像されるように全編にブラック・サバス(オジー・オズボーン)へのオマージュがばらまかれている。サバスのファンなら曲が始まった瞬間に吹き出すのは間違いない。高城の咳がパンするところまでSweet Leafでのそれのコピーである。リリース前から色々想像していた俺はこの瞬間に「やっぱり」と思った。他にもオジーのソロからClazy Trainの笑い声とその後のセリフをあーりんが真似したり、歌詞に「カブラ・サダブラ」(勿論サバスのSabbra Cadabraをひっくり返したもの)というフレーズが出てきたり。中間部シャッフル部分のギターリフはEvil Womanが元ネタ(注)か?

  あんまり楽しいのでうっかり元ネタ解説してしまったが、この曲の魅力はそういう「些細な」部分ではない。中間部のブギーパートなど、基本的に70〜80年代のHR/HMマナーを取り入れつつもあくまで「ポップス」としての本分から逸脱しない絶妙なバランス感覚。こういうテーマだからといっていたずらにダーク&ヘヴィーな世界観をアイドルに背負わせるコトの無い歌詞とメロディ。こういった「守るべきもの」をしっかり踏まえたうえでのこのサウンド。決してこの曲(そして「サラバ」も)は「ロックではない」というところは非常に重要。

  曲そのものもサバス的要素はあくまで味付け。メインのヴァースはギターリフ(リフはNARASAKIの演奏)こそヘヴィーだがファンキーで、メンバーのラップ(稚拙だが)がフィーチャーされる。メロディのバックにあーりんの短いラップが載るところが特に良くて、今回は例の「All Aboard〜」の部分含め、あーりんが美味しい使い方されてる印象。 

 そこまでの「黒い」雰囲気がエンディングで一気に「光」に転じるアレンジはファンの間でも評判が高い。ここは高城→夏菜子って「新旧リーダー」が歌い継ぐのがミソって気もするね。高城の歌は相変わらず不安定で線も細いけどそれをあえて(多分)最低限の修正で聴かせてるのもグッとくる。そして和島慎治の一聴して彼と解る「青森のトニー・アイオミ」なソロも、「光る週末」を踏まえた明るいフレージングになっているのも流石。 

 メロディはNARASAKIの手癖か、天手力男と類似するものが出てきたりするし、ドラムパートの打ち込みに相変わらず残念な部分があったり、ラップ部分の譜割の格好悪さとか惜しい部分も散見される。ヴォーカルも今までになくラフだ(これは狙いの可能性も高いが)。だがそういう部分を超えて伝わる魅力がある。個人的には、今まででトップクラスに好きな曲。

(注)ネットではBlack Night説も見かけたが、ここでパープルは明らかに唐突だし良く聴けばEvil Womanにそっくりなのが解るはず。Black Night説は積極的に否定したい。

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