2013/06/14

サラバ、愛しき悲しみたちよ

布袋寅泰が書き下ろした9thシングルのリードトラック。ギターも布袋自身が弾いている。テレビドラマ「悪夢ちゃん」とのタイアップ。シングル曲としては数少ない「自己紹介要素」(個人としても、グループとしても)が見られない曲でもある。

  90年代風のデジタルロックサウンドのキャッチーな楽曲だけど、メロディラインには手癖で書き飛ばしたと思える部分が散見される(特にサビは布袋が歌ってもそのままはまりそう)が、ももクロという範囲で見ると過去の曲より更にロック的でもあり、多少新鮮な雰囲気はあると思う。エレクトロニックなリフや、「Ah Huh, Dig it, Dig it」の部分など、一回聴くと覚えてしまうフレーズが散りばめられていて、ドラマの主題歌になったこと、ちょうど露出が大きく増えていた時期ということも相まってヒットに結びついた。

 今までのシングル曲の中では比較的シリアスな曲調だが、「行かないで…」のパートのように可愛らしい部分もあって、ポップスとしてのバランスは良いんだと思う。また、流石布袋だけあってシングル曲では「労働讃歌」に次いで踊れる楽曲になっている。とくにヴァースの部分は90's前半を通過した世代にはたまらないビート感だと思う。

  例によってリリース直後は賛否両論あり、個人的には「否」に近かった(単に布袋が嫌いなだけってのもあるけど)のだけど、テレビ出演やライヴでのパフォーマンスを見るうちに印象は変化した。どうもこうしてみるとライヴ映えする曲に思えるが、レコーディングではヴォーカルの加工が過剰だったのではないかという意見もあって、この辺は納得。 

 直後の紅白歌合戦出演もあり、13年初頭時点での代表曲といえる存在だったが、このタイミングで「自己紹介の無い曲」というのは重要ではないかと思える。アイドル業界マナーを乗り越えて全国的存在へ。「サラバ昨日を脱ぎ捨てて」というフレーズは象徴的だ。

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