アルバム中で最も強力な新曲。日本神話の神の名を冠したタイトル、独特の曲調(メロディ)ともにアイドルのポップスという範囲を逸脱している。逸脱しているということは、ももクロらしい曲という意味である。
狙いどころはドラムンベースにNARASAKI得意の民族音楽的要素を取り込んだ線だったが、その過程でレゲエが入ってしまい、結果としてジャングル的な音に先祖返りしてしまった、というようなサウンドに落とし込まれた。結果オーライ、という話である。特にミドルエイトの、前のメンバーを殴り倒していく振り付けとバックのジャングルを通り越して懐かしのブレイクビーツテクノにまで戻った感じのアレンジが好きだ。エンディングに303っぽい音が出るのも嬉しい(毎度のアシッド愛好発言で済まんね)。
イントロでは「意外と簡単」と歌われるがそれどころかヴァースのヴォーカルパートは結構難しいと思える独特の音程の(雑に言えば、民族音楽的な)メロディと符割りが使われている。ここからレゲエ風のブリッジを経てポップで妙にキャッチーなサビに到達する展開が凄く気持ちよい。ヴァースのメロディを特に歌いこなす(というか、合っている感じがする)のはれにと詩織。二人の自由さと曲が共鳴したか? 逆に夏菜子と杏香には今ひとつ合っていないか。
今まで(無印時代)ならこういうリズミックな曲にはラップを入れていたところだろうが、早見の脱退によりその必要がなくなったのがこの曲のまとまりのある仕上がりに貢献している。
サビ前のパートが意外に凡庸、と言うかオーソドックスな方に流れるのだけどコレはあえてバランスを取ったか。ただ、所謂J-Pop系の曲と違ってヴォーカルは頭拍で歌ってもバックは細かいシンコペーションが山盛りなのでリズムが野暮ったくなることは逃れている。
303の下り、非常に同意です。
返信削除個人的にこの曲の全ての要素が最後の303のためにあるとすら思っています。
アイドル曲じゃなければ、いっそサビとBメロ?(レゲエ風味な部分)は省いてもいいんじゃないかと。
それにしてもこの人のコードワークやメロディセンスは特殊ですねえ。
ピンキージョーンズでも思ったのですが、正統派なアイドルポップを一度「こうくるか」という形にリミックスした後のようで
この天手力男も、サビとBメロは「申し訳程度に原曲の要素を入れました」的な印象を受けます。