2012/08/31

ピンキージョーンズ

ユニバーサルから1枚出して、マネージメントサイドのレーベルに移籍(キング内のスターチャイルド)っていう流れもブランズウィックから(仮住まいのリアクションを挟んで)トラックレコードに移籍したフーのレーベル変遷に似ているのが偶然で面白いのだけど、まあこれは完全に余談。

 この曲のポイントは「作曲者がロックミュージシャン」というところだろう。Coltar Of Deepers~特撮のNARASAKIはコレ以降もももクロの楽曲に絡んでいくことになるが、これがその最初の曲。スターチャイルド第一弾、更なる心機一転ということか、あえてここまでアレンジや衣装に取り入れてきた和風イメージを(一旦)忘れて、まったく新しい路線を目指す為に彼に白羽の矢が立った、ということだろう。

  その試みは成功したと言っていいと思う。ロックミュージシャンでありながらダンスミュージックにも精通し、しかも近年は民族音楽にも造詣の深いNARASAKIがアイドル向けのポップソングという土壌に好きなように趣味をぶちまけた、という印象の曲に仕上がった。 80年代のゲーム音楽のようなイントロのフレーズ、スピード感のあるグルーヴで惹きつけて、サビまで一気にたたみかける。怪盗少女で確立しためまぐるしく入れ替わるソロヴォーカルも当然踏襲。今回はメロディの流れに短いラップ風のパートを自然に挿入したのがいいアクセントに。ここでは実はあーりんのラップが魅力的という新事実も発見されている。 

 サビの「逆境こそがチャンスだぜ」というフレーズはももクロの基本姿勢を明確に打ち出した歌詞として重要だが、女の子が歌う曲ながら「だぜ」という言い回しで力強く言い切るのがももクロ式。前作のタイトルとも韻を踏んでいる。それでいながら締めの歌詞が「すっとこどっこい」という意味不明具合もまた、彼女たちにしかあり得ない。何が凄いってコレが特にギャグのつもりではないってところじゃないかと。

  2コーラス目の導入として組み込まれたインド風(?)のパートにNARASAKIの趣味が垣間見える。声域の低いあかりのために挿入されたとも思えるが、残念ながらあまりぴったり合ってるわけではなかったようだ。

 その後の裏打ちコーラスはケチャをスカっぽく使う発想か?(これをそのまま「ケチャ」と呼ぶ人を見たことがあるが、ポリリズミックな使い方ではないからケチャとは全く違うよね)。この部分もスピード感を増強していて気持ちよく聞けるパート。  バックのうねるベースも良い。

 大サビに当たるパートではメンバー全員の名前が巧妙に(無理やりに?)織り込まれた歌詞となっているのも「自己紹介ソング」であった前作を踏襲した部分。サビに戻る前にかなこのアクロバットが挿入されるところも同じ。こういう些細な仕込みが随所にあるのがこの曲のきめ細かな部分。よく出来てる。

 余談だけど「輝く未来をOh」の部分を「輝くミライボウル」と聞き間違えて「え!予告してたの!?」とか考え過ぎちゃうのは、後追いならではだな。

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